免震の可能性
判断がつかない限界事例では、「事業者性の有無」と「専属性の程度」を加えて総合的に判断します。
この4つの質問にすべて「はい」と答える場合には、使用従属性はなく業務委託契約社員になります。
すなわち、この5つの質問すべてに「はい」と答える場合には、使用従属性はなく業務委託契約社員になります。
会社は機械、器具の負担をしていない。
報酬は機械等を負担するため、他の一般社員よりも高い。
報酬に生活給的な要素はない。
他の会社の業務を行なってもよい。
諾否の自由があることは、指揮監督関係を否定する重要な要素となる。
諾否の自由がないことは、契約内容等による場合もあり、指揮監督関係の存在を補強するひとつの要素に過ぎないものと考えられる。
会社が業務の具体的内容及び遂行方法を指示し、業務の進捗状況を本人からの報告等により把握、管理している場合には、業務遂行課程で使用者の指揮監督を受けていると考えられ、指揮監督関係を肯定する重要な要素となる。
勤務時間が定められ、本人の自主管理及び報告により使用者が管理している場合には、指揮監督関係を肯定する重要な要素となる。
当該業務に従事することについて代替性が認められる場合には、指揮監督関係を否定する要素となる。
報酬が、時間給、日給、月給等時間を単位として計算される場合には、使用従属性を補強する重要な要素となる。
機械、器具が会社より無償貸与されている場合には、事業者性を薄める要素となる。
報酬の額が、同社の同種の業務に従事する正規従業員に比して著しく高額な場合には労働者I性を薄める要素となるものと考えられるが、通常そのような例は少ない。
他社の業務に従事することが制約され、又は事実上困難な場合には、専属性の程度が高く、労働者性を補強する要素のひとつとなる。
報酬に固定給部分がある等生活保障的要素が強いと認められる場合も、労働者I性を補強する要素のひとつとなる。
報酬について給与所得として源泉徴収を行なっているか否か。
1985年「労働基準法研究会報告」より具体的に考えてみましょう。
まず、契約は「委託契約」でした。
納期まで1週間から1ヵ月程度の余裕のある仕事を委託して、納期の迫っているものは正社員にやらせていました。
電話により又は出社時に、仕事ができるかどうかを確認して委託していたので、業務の諾否の自由はありました。
業務の内容が定型化しており、個々具体的に指示することは必要ありませんでした。
週一元社員であった速記者が、会議録等を録音したテープを自宅に持ち帰り、ワープロに入力する業務を行なっていました。
この場合、労働者になるか業務委託契約社員になりません。
また、勤務時間の定めもなく、1日何時間くらい仕事ができるかを本人に聴き、委託する量を決めていましたので、就業時間の拘束性もありません。
報酬に関しては、在宅勤務者個々人についてテープ-本当たりの単価を決めており、テープの時間数からの出来高制としていました。
以上より、「使用従属性」はないものと考えられます。
ワープロは、会社が無償で貸与していたましが、他に「労働者性」を補強する要素はありませんでした。
結論として、この事例の在宅勤務者は、労働基準法第9条の「労働者」ではなく業務委託契約社員であると考えられます。
机上でデバッグを行なう業務でした。
この場合、労働者になるか業務委託契約一社員になるか。
1回程度の出社時及び電話により進捗状況を確認しているだけでしたので、指揮命令はあまず、期間の定めのない「雇用契約」により、正社員として採用されていました。
会社から指示された業務を拒否することは、病気等特別な理由がない限り、認められていませんでした。
業務に諾否の自由はありません。
業務内容は仕様書等に従ってプログラムの設計を行なうことであり、定型化していました。
通常、細かな指示等は必要ありませんでした。
なお、3日に1回出社の義務があり、その際、細かい打合せ等をすることもありました。
指揮命令はないと考えられます。
また、勤務時間は一般従業員と同じく午前9時から午後5時(休憩1時間)と決められ、労働時間の管理・計算は本人に委ねられていました。
就業時間の拘束性はあります。
報酬に関しては、一般従業員と同じく月給制(固定給)でした。
以上により、「使用従属性」はあると考えられます。
末端器具及び電話代は会社が負担していました。
さらに、正社員であるので、他社への就業は禁止きれていました。
これは「労働者性」を補強する要素です。
労働者か業務委託契約社員かに関する判例は、使用者の指揮命令を前提にした「人格的従属性」を重視してきました。
主な判例に、Yz証券事件、Th製紙事件、Ot印刷所事件があります。
いずれも、指揮命令を前提にした人的従属性で労働者性を判断しています。
84年報告以降は、労働者近似性判断型が雇用関係法領域における解釈論上の規整のスタンスとされています。
これは、一般の従業員と同程度に、使用者の指揮命令や勤務時間、勤務場所の拘束により自己の労働力処分の自由を制限きれていない限りは、たとえ他に労働者性を示す事情を労働者近似性判断型の判断基準は、グレーゾーンにある就業者の労働者性をかなり限定的にしか認めない厳格な判断といえます。
Tw事件(名古屋地判平6.6.3)では、パン類を外交員として販売し、販売実績に応じて販売手数料の支払いを受ける旨の外交員契約が、労働契約かそれとも販売委託契約に過ぎないかが争われました。
この外交員契約は労働契約であり、また外務員について、指揮命令がなく、出来高給制であることを理由に、雇用契約ではなく、委任もしくは委任類似の契約で労働基準法の適用を受ける労働者ではないとした。
職務内容が塗装機械用の塗料製法の指導、塗料の研究で、-般従業員とは異なって直接加工部長の指揮命令に服することなくむしろ同部長の相談役ともいうべき立場にあったが、週6日間朝9時から夕方4時まで勤務し、毎月一定の本給に加えて残業手当の支払を受けていたことを理由に嘱託契約が雇用契約(厳密にいえば、労働契約)であるとして労働者性が認められた。
出来高払制の筆耕者の労働者性を、従属性の判断基準(仕事の依頼、業務従事に対する諾否の自由、時間的場所的拘束I性、使用者による計If釣指揮監督、労務提供の代替性、業務用具の負担関係、労働に対する報酬の対償的性格)により判断した。
契約書には独立の営業主として扱う趣旨の規程がなかったこと。
新規開拓顧客は、会社の顧客名簿に登載され、外交員契約の解約時には会社に引き継がれること。
単純な販売作業に従事し歩合手数料・半期手数料・退職慰労金の給付を受けたこと、それらは出来高に応じて給付額が確定すること。
歩合手数料等はいずれも労働基準法上の賃金に該当するとされました。
すなわち、この外交員は、業務委託契約社員ではなく労働者であると判断きれました。
逆に、パピルス事件では、一雇用契約ではなく業務委託契約であると判示されています。
コンピュータマニュアルの企画業務等を営む会社との間で、月額10万円、交通費及び営業活動の実費を支給するとの条件でコンピュータシステムのマーニュァル作成の営業活動等を行なうことを内容とする契約を締結しました。
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